LIFE NOTES

様々な分野で活躍する方々をゲストに迎え、彼らとの対話を記す冬のLIFE NOTES。創作の現場を訪ね、束の間のリラックスした時の中で彼らから心地よく語られたのは、それぞれの衣服への想い、創作のインスピレーションの源。それに日々の生活について。

今回は、世界的なダンサーでありコリオグラファーの菅原小春さんがゲスト。イマジネーション溢れる独自のスタイルに、留まることを知らない表現力が光る。

生まれ故郷である九十九里の海岸で、菅原さんと朗らかに綴ったLIFE NOTES。

服の方から自分に寄り添ってくれた

普段選ぶ服は、素材が気持ちよく、シルエットが綺麗なものを選びます。ONやOFFといった使い分けはしないですね。素材はナチュラルがいいとかこだわりも特にないし、逆に化繊が入っていたりするとそこに調和を感じたり。異なるものが共存することの大切さを気づかされることがあります。男女の違いも意識はしません。そういえばマーガレット・ハウエルは男性のシャツを作ったところからはじまったブランドですよね。50年以上前からずっと作り続けていることや自然からインスピレーションを得ていることに共感します。

BLOUSON ¥86,900, CARDIGAN ¥30,800, SHIRT ¥36,300, SKIRT ¥72,600, BELT ¥7,700, SCARF ¥9,900, GLOVES ¥15,400, TIGHTS ¥5,170, SHOES ¥26,400

今日着ている服、そういえばすごい気持ちいいって後になってから感じました。服を着ていることに最初気づかなかったような、服の方から自分に寄り添ってくれたような不思議な感覚。ダンスは身体の内側から起こる営みで、そのはじまりが魂であれ、心臓であれ、血管を通って皮膚まで浮かび上がり、ようやく形になる。“纏う”行為はつまり身体で起きるその過程を隠すようでありながら、見えないものを想像させる役割もある。だから身体と衣服は別物なんかじゃなくて、有機的に繋がっていると思います。

ただそこにいるだけで美しい

今の自分は、止まっているようでいて止まっていない状態というか。以前は、動き続けていないともっと自分を責めていたし、目に見えるものだけを追って踊ってきたのかもしれない。年を重ねるにつれて、目を閉じて聴こえてくるもの、例えば心臓の鼓動を感じられるだけでも素晴らしいと思うようになりました。ただそこにあるものが、ただそこにいるだけで美しい。そうしたら、自分のシミやそばかすも否定しなくなったし、手帳に挟んでいた枯れ葉の色が移り行く様子にも、感動を覚えるようにもなりました。マーガレットの服も同様に、経年変化していく姿が綺麗な服ですよね。

海は、自分をゼロに戻してくれるところ

正直、今でも仕事として踊ることに窮屈さを感じることがあります。それは、やりたいことができているからこその私のわがままかもしれないけれど、本来は地位も名誉も関係ないのが踊りだから。挑戦や失敗を繰り返し続けている私に、親は「いつでも家に帰ってきなさい」って言ってくれます。帰るとそこに変わらない姿で海がいてくれる。海は自分をゼロに戻してくれる。当たり前だと思っていたその環境を、いま改めて大切に思います。


菅原小春
幼少期にダンスを始め、中高生の時に数々の有名ダンスコンテストで優勝。2010 年に渡米、海外でも独自のダンススタイルが高く評価される。少女時代、TAEMIN、2NE1などの振り付け、RIHANNA、安室奈美恵らのダンサーも務めた経験を持つ。国内外でワークショップやショーを行う傍ら、TVCM、ラジオ、雑誌などにも登場し多方面で活躍中。

DIRECTOR: KYO KUBOYAMA
PRODUCER: YUKI KOIKE
CINEMATOGRAPHER: DAISUKE ABE
PHOTOGRAPHER: YUSUKE ABE
HAIR & MAKE-UP : RISA FUKUSHIMA
STYLIST / CO-DIRECTOR: HIDERO NAKAGANE
TEXT: MAKOTO MIURA

*価格はすべて消費税込みです。

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