WOOL CASHMERE
上質さと心地よさをイコールにブレンド
マーガレット・ハウエルにとって、素材はすべてのはじまりであり、
そこからデザインが決められていきます。
このコラムではそんなプロセスやストーリーをお伝えします。
カシミヤの美しさを引き立てる
ウールの汎用性
繊維の宝石と形容されるカシミヤは、滑らかで規則正しいスケールに覆われた繊維構造が、ヌメリと優しい肌触りを生み出しています。しかしながら、ハイクオリティな素材がもたらす美点は、ウィークポイントと背中合わせの関係ともいえます。上質な肌触りや保温性と、デリケートであること。こうした表裏を補いながらマーガレット・ハウエルが理想の着心地を追求し辿り着いたのが、このウールカシミヤで、毎シーズン使っています。寒暖の変化が激しい高地で暮らす羊から採れるウールは、自然の力による優れた使い勝手が大きな魅力。そうしたお互いの素材の良さを引き立てるための混率もこだわっています。丁寧に紡績された糸は、スコットランドのファクトリーに運ばれ、仕立てられています。
WOMEN MERINO CASHMERE KNIT ¥ 63,800 (税込)
MEN MERINO CASHMERE KNIT ¥ 47,300 (税込)
ウィメンズのニットはエスクヴァレーと呼ばれるニットファクトリーで作られています。自分たちの目と手の届く範囲での生産体制によって安定したクオリティを供給し、イギリス国内はもとよりヨーロッパ中から生産を請け負う名門。糸の特徴によって編み地を細かく調整していく成型編みを得意としており、ローゲージからハイゲージまで、丁寧な仕事が行き届いています。メンズはハーレーオブ スコットランドと呼ばれる、同じくスコットランドの老舗ファクトリーによるもの。縫い目を持たずに一枚を仕立てるホールガーメント製法に特化しており、上質な素材を使いながらも、オーセンティックで素朴さを感じさせるバランスに優れています。前者は畦編み、後者は天竺編み、見た目の雰囲気は異なりますが、どちらも素材の弾力性と膨らみが空気を含むことで、心地よい温かさを感じることができます。
スタッフが長年愛用している
ウールカシミヤ
カシミヤの繊細さはウールの汎用性によってある程度カバーされているものの、日頃のケアを怠らないこと。ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、ホコリや汚れを取り除くためでもあります。優しく、そして丁寧に。特別なパックよりも日々のケアが素肌の美しさをいつまでも保てるのと同じように、湿気を吸ったり吐いたり、まるで生き物のように呼吸するニットには、日々接している意識が大切です。
PHOTOGRAPHER: KAZUKI NAGAYAMA
WRITER: MASAYUKI OZAWA