日常で着るコットンは
生産背景にこだわりを

普段から当たり前のように肌に触れているコットン。原料となる綿花の世界生産量は、年間2500万トン以上とも言われており、その重さは東京タワー7000本にも相当します。話が随分と横に逸れているように聞こえますが、それだけ私たちにとってあまりに身近な存在ということ。だからこそ、その中で何を選び、どう使うかを考えています。
マーガレット・ハウエルのコレクションは、デザインチームが調達する素材が使われています。世界中のサプライヤーの中で、選ばれる基準はただ一つ、マーガレット本人が納得するかどうか。厳しい目と手、直感によって細かくチェックされたもののみが、皆さんの手元に届いているのです。今回紹介するウォッシュドコンパクトコットンは、日本で作られたファブリック。コットンといえば風通しのよさが魅力ですが、こちらは通気性に優れながらも、縦糸、緯糸ともに2本の糸を撚った双系による高密度のツイル組織で、非常に丈夫。このように品質の高い生地は、とくにMHL.で多く使われています。過去にもこの手法で織り上げたコットンを使っていましたが、それは毛羽を滑らかに加工するなど、美しく整えることに注力していました。しかしこのウォッシュドコンパクトコットンは、あえて均一にしない、不揃いな風合いが特徴。洗濯による縮みや寸法の変化がなくなるまでしっかりと洗いをかけて仕上げ、すでに生地が馴染んだ状態を表現しました。表面に残る葉や茎の破片である「綿カス」を削ぎ落とすことも、毛羽を取り払うこともしていません。あくまでコットンの素をそのまま映し出すことによる、一着一着の顔付きの違いを大切にしました。それは着続けることで、コットンが柔らかくなり、自分の体型にあっていくもの。時間の経過とともに手放せなくなる、愛着を育みます。

MEN MHL. WASHED COMPACT COTTON JACKET ￥ 46,200 （税込）
MEN MHL. WASHED COMPACT COTTON TROUSERS ￥ 28,600 （税込）

品質を安定させるために
異なる二種をブレンド

話を原料に戻しましょう。このウォッシュドコンパクトコットンは、産地の異なる２種類の綿花を使用しています。天然素材のコットンは、同じ土地や生産者であっても気候条件などによって品質が微妙に変わるもの。年ごとのバラツキを防ぐために複数種をミックスさせることで、クオリティを安定させているのです。人気の品種をそのまま使うことよりも、抗えないものを受け入れながらクオリティを保つことに、私たちはものづくりの情熱を注ぐべきだと考えています。